イアンが来日しました

初日の前日、どうにか絵だけは全て壁に設置し終わったところで一休み…していたら、ドアの外にイアンの姿が! ついにイアンが初めての日本にやって来ました!
自分の絵がかけられているのを見て、「信じられないよ!」と感激するイアンを見て、わたしもとても嬉しいのと同時に、ここにイアンがいることが…なんだかとても不思議です。
来てと呼んだのは私なのですが、なんだか不思議な気分です…。本当に、イアンが日本にいる…!
屋上に上がって、目に入るものすべてが新鮮でたまらなそうなイアンを見ていると、その興奮がだんだん伝わって来て、あぁ、本当にイアンが日本にいるんだ!と、じわじわとゆっくりと、でも確かに感じられるのが、頭だけでなく体にも染み込んでくるような感覚がありました…!
そして一緒に辺りを見渡しながら、見えたものについていろんな話をしました。イアンは昔、日本の映画で見たタクシードライバーが白い手袋をしていたのがとてもエレガントで忘れられなかったそうで、日本に来たら案外みんな手袋をしていなかったことが少し意外だったようです…。「ここに来るまでに青系の車体のタクシーのドライバーさんが手袋をしていたのは見た」とのこと。そして目の前を走っていった白いタクシーもたまたま手袋をしていたけれど、みんながみんなそうではなく…。そこで私はピンと来て、「(イアンが求めているのは)黒いタクシーに、白い手袋、でしょ?」「そう! そう!!」。イアンが求めていたのはきっと、エレガントさ、なんだろうなと思ったら案の定、でも意外にそういうタクシーは見かけないなと、その時私が気づかされました。そして、そんな話をしながら一緒に辺りを見渡していると、なんだか一緒に東京の空気に溶け込んでいくような感覚がじわじわと湧いて来るのを感じました…。普段考えもしなかった東京の風景について、新鮮な目線で見れたこと、それをイアンと一緒に出来たことがとても嬉しく、そしてこの心地よい感覚は、きっとずっと忘れないだろうなぁと思ったのでした。イアンも、一緒にいたアナスタシアも、きっとそうだといいな…!
そのほかにも、イアンは街のディテールに夢中です。植え込みに放置されて勝手に育ったおばけアロエや、それよりはもう少し手をかけられているけれど、近所の人が勝手に始めた植栽を見て、「緑を愛しているんだね、とても素晴らしいね」と。「でもあれは本当は違法なんだよ」と答えたことをきっかけに、そういうものを見るたびに、私たちの間では「イリーガル・ガーデン」と呼ぶようになりました(笑)。
そして夜は近所の老舗のお好み焼きやさん「染太郎」で歓迎の食事会です。ここでもディテールが気になるイアン、玄関にある靴べらに目が止まり、「ケイコ、この木の靴べらはどこで買えるんだい? こういうのは大抵金属製なのに、この木製のものはとてもいいねぇ!」と。でも、私にとっては当たり前すぎて逆にどこで買えるかがわからず…オロオロ。本当に、イアンの目の付け所には油断もスキも…(笑)。
初めて日本に来て、初めての夕食会がお好み焼きで、大丈夫かなぁと思ったのですが…
気に入ってもらえたみたいで良かったです!(ほっ)
最後はすっかりリラックス。建物の雰囲気の良さも気に入ってもらえたようです。私も嬉しかったです!

お店を出て、一旦みんなでGINGRICHに戻り今日は解散。日本に着いたばかりで疲れているイアンとアナスタシアには今夜はホテルでゆっくり休んでもらい…。私はまだ残っている設営の続きです。なんとか明日のオープンまでには間に合わせなければ…! という緊張感、そして使命感でいっぱいです。おそらく朝までかかるはず…。でも、イアンに喜んでもらうためにも、最後までがんばります。そして明日は泣いても笑っても、展示がスタートです!!

The Home of a Modern Man

ヘルシンキ在住アーティスト、イアン・ブルジョーによる絵画展。自由で大胆、そして時に物憂げで、時に意味深で、観る者の誰の心の中にもある「説明のつかない感情」に触れてくるかのような作品の数々。彼が経営する「アルカディア・インターナショナル書店」のポップアップも。 7月1日(土)〜7月15日(土) 平日 14:00–21:00(水曜休) 土日祝 12:00–21:00

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